【浄土宗の葬儀マナー】葬儀の特徴や流れ
公開日:2018年04月11日
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浄土宗の葬儀の特徴や流れについて説明します。
目次
葬儀の特徴
浄土宗は、鎌倉時代に法然上人によって開かれました。本尊は阿弥陀如来、総本山は知恩院で全国に七大本山があります。
- 総本山:知恩院(華頂山知恩教院大谷寺 京都市東山区)
- 増上寺(東京都港区)
- 知恩寺(京都市左京区)
- 清浄華院(京都市上京区)
- 金戒光明寺(京都市左京区)
- 善導寺(福岡県久留米市)
- 光明寺(神奈川県鎌倉市)
- 善光寺大本願(長野県長野市)
経典は「浄土三部経」で、「南無阿弥陀仏」と唱えます。「阿弥陀仏の救いを信じ、南無阿弥陀仏と念仏を唱えれば必ず極楽浄土に往生できる」という教えです。
念仏を唱えて極楽浄土へ行くという考えは「他力」といい、浄土に居ても、仏となって人々を救うことができるとしています。「他力本願」とは、阿弥陀如来という絶対的な力を持つ他者の心を頼る、というところからきている言葉です。
葬儀では、僧侶とともに故人に代わって参列者一同が念仏を唱えます。「念仏一会」といい、「南無阿弥陀仏」を10回から一定時間唱えることで、阿弥陀如来の救いを得る助けをする意味があります。さらには、参列者と阿弥陀如来の縁を結ぶ意味もあり、信仰心を深めることが目的ではありません。
「下炬引導」の儀式があり、火葬時の点火を意味します。僧侶が棺の前で焼香の後、たいまつを意味する法具を2本とり、1本を捨てます。煩悩にまみれたこの世を嫌い、離れる「厭離穢土(おんりえど)」を意味します。たいまつで円を描き、「下炬の偈」を読み終えると同時にたいまつを捨てます。極楽浄土に往生したいと心から願い、求めることを表す「欣求浄土」です。
葬儀の流れ
通夜
故人を北枕に寝かせ、顔には白い布、胸元に守り刀を置きます。ろうそくと線香の火は絶やさぬようにします。
僧侶に枕経をあげてもらいますが、通夜では行わない場合もあります。
葬儀式
- 「奉請」 諸仏の入場を願う
- 「懺悔」
- 「剃度作法・十念」 頭を剃る仕草をし、十念を唱える
- 「三帰三竟」 仏・法・僧に帰依することを故人に伝える
- 「授与戒名」
- 「開経偈」
- 「誦経」
- 「発願文」 すべての衆生の救済につとめることを誓う
- 「摂益文」 念仏を唱えるものは仏に守られるという偈
- 「念仏一会」 感謝して念仏を数多く唱える
- 「回向」 念仏の功徳がすべての物の成仏に益することを願う
序分
法要に当たる部分で、「序分・正宗分・流通分」の三部構成で行われます。
序分は葬場に諸仏を迎え入れ、讃歎する儀式のことです。
正宗分
引導を含む葬儀の中心部分です。「下炬引導」は、この正宗分の中で行われます。
流通分
法要を終えたことを感謝し、諸仏と故人を送り出す儀式のことです。
焼香の作法
焼香の回数には決まりはありませんが、3回が基本です。
香炉前で合掌と一礼をし、親指・人差し指・中指の三指で香をつまんだら、その手を仰向けにします。もう片方の手を下から添えて、額に押しいただき香炉にくべます。最後に合掌と一礼をします。